※この記事は、前回の記事
認知症の「嫉妬妄想」について、家族として試したことの記録(2/3|混乱と試行錯誤)
の続きです。
デーサービスからの電話で気づいた「受け取られ方」
きっかけは、
デーサービスでの様子を電話で尋ねていたときでした。
この頃は、ケアマネさん、ヘルパーさん、デーサービスさんと
なるべくこまめに情報を共有し、
母がどんな状態で過ごしているのかを把握していきます
もの忘れ外来まで、あと3週間。
📞
「〇〇さん、今日は
“娘さんが、お父さんの浮気の事実を認めた”
とお母さんがおっしゃっていて……」
え。
そんなはずがあるわけがない。
もしかして、
受容的な態度が誤認されている……?
母は「文脈」を保てなくなっていた
私は、これまで母にこう声をかけていました。
「浮気してるってお母さんは思ってるんだね。
そうだとしたら、辛いよね……」
その場では、
母は会話の流れを追えているように見えていたんだよね。
でも、母の中ではそれが形を変え、
『娘が、父の浮気を認めてくれた。
だから、私の辛さを分かってくれたのだ』
という理解に置き換わっていた。
――母は、
文脈を保てなくなっていたのだ。
電話の裏で、家族が同時進行していたこと
この電話の裏で、
私たちは粛々と動いていました。
1.もの忘れ外来につなげること
できるだけ正確に症状を集め、医師に伝える。
5年前に「アルツハイマー型認知症」の診断は受けていましたが、
改めて詳しい検査をお願いし、
薬の調整も相談する予定でした。
2.父との生活を一時的に分けること
そのためにショートステイを探してもらう。
急な調整で大変な中、
ケアマネさんが尽力してくださり、
受診までの間、父と距離を取る準備が少しずつ整っていきます
3.ネット検索をかけまくる
- 嫉妬妄想 対応
- 嫉妬妄想 原因
- 嫉妬妄想 被害妄想
- 嫉妬妄想 継続期間
おぼろげに、
「これは薬物治療が必要な段階かもしれない」
と感じ始めていました。
ただ、その判断はやはり医師に委ねるしかありません。
4.訪問診療医への報告
「やはり薬の調整が必要かもしれませんね。
専門医の予約があるなら、まずはそちらに任せましょう」
という助言をいただきました。
5.訪問薬局との連携
ショートステイ中に薬が切れないよう調整をお願いし、
不足分は施設へ直接届けてくださることに。
本当にありがたい対応でした。
ショートステイの利用は初めてだったため、
契約や担当者会議も必要になります。
……正直、
「今それやってる場合じゃなくない?辛」
制度上必要なことなのは理解しているし、
誰が悪いわけでもない。
悪いのは制度だ😤
と、心の底からこの時は思えました。
在宅介護では各所への調整が一気に家族にのしかかります。
経験のある方なら、きっと分かってもらえると思いますが
この辺りもなんとか工夫出来るのでは?と思います。
(LINEなどで繋いでしまうなど)
薬と環境調整で、状況はいったん落ち着いた
その後、母は無事にショートステイに入り、
もの忘れ外来を受診しました。
不幸中の幸いだったのは、
薬が著効したこと。
数日で嫉妬妄想はきれいに消え、
予定どおり帰宅することができました。
(ショートステイの予約がそれ以上取れなかった、
とも言えますが)
お薬については、
素人が語ることではないので割愛します。
すべて先生にお任せしています。
「励ます」という対応に切り替えた理由
📞
「じゃあ、認めたわけではないんですね😅
そうですよね😅
もしかしたら……
お母さんは励ましたほうがいいのかもしれません」
「日頃の様子を思い返すと、
ちょっと思い当たるところがあるんです。
こちらでも対応を考えてみますね」
なるほど。
それは確かに、思い当たるのだ。
母は、これまで
自分を叱咤激励しながら、
いろいろな問題を乗り越えてきた人で
――私も、この時にそれを思い出すのです
さあ、家族としての本領発揮🤣
言いたいことは山ほどあるぞ
「離婚したいの?
まあ、したければすればいいよ。
でもさ、だからって気分まで落としちゃダメだよ。
しっかりしなきゃ。
メソメソしてたら、離婚だってできないでしょ?
みんなだって大変なんだから。
しっかりして。がんばろ?ね?」
――母には、結局これがとてもよく効いた。
介護職の方の一言にヒントをもらい、
私たちは作戦を切り替えました
正解はなくても、目の前の人に合う答えはある
一般的な対応ではないかもしれない。
でも、
母の性格、
これまでの歴史、
生き様。
それは今でも、
ちゃんと呼吸し続けているのだと思います。
(@^^)/~~~
📚 この話は3話構成です
▶ 父の90歳誕生日と、メダパニ級“嫉妬妄想”の夏(1/3)
▶ 認知症の「嫉妬妄想」について、家族として試したことの記録(2/3)
▶ 認知症の「嫉妬妄想」について、家族として試したことの記録(3/3)現在地
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